為平 澪

見えないものを見 聞いたことのない歌をうたう
聞いたことのない声を出し 人と関わりたがる

私の目は 饒舌に喋り続け
下半身の纏った嘘を 脱がせようとする

私に口はないが 手はいつも人を殴りたがるし
私に切符はないが 目を瞑れば何処へでも行けた

あなた方の瞳に映る私は 私であったであろうし私でもない
あなた方の記憶する私は 決して立ち止まらない 君や誰か

               ※

青信号のスクランブル交差点 
誰も私の顔をして歩いているのに
誰も私になれないまま  毎日を通過していく

私は 赤信号の中に住む

私は 交差点の真ん中の点

私は その点を振り返った君に 微笑んだ
踏みつけられたままの文字



自由詩Copyright 為平 澪 2014-09-23 03:14:11
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