テキトウに、生きる
うめバア

わかっているのだ
燃えるゴミは火・木曜日
かんとビンは水曜日
古布と資源ゴミは土曜日
でも、間違えたのだ
自治会の方がやってきた
ゴミを突き返し、怒るのだ
間違えた、やってしまった
その気持ちと、目の前の怒りが怖くて
頭が真っ白になる
そして何よりもごみの分別という
「正しさ」に圧倒されて
ただ、ただ、すいません、すいませんという
私の声は、どこまでも弱く、軽く
怖いから直視できないだけなんだけど
まじめに聞いていないのだ、こやつはと
捉えていらっしゃるのだろう、その口調に
軽蔑の色合いが濃くなる

「ほんと、ごめん」
そう思っているのだけれど
地球のために、私も何かしたいんだ
ごみの分別、そうだよね
みんなで決めた、ことだものね
でも、間違えちゃったんだ

会社では、表計算を間違えた。
どこかで関数指定が外れていたのだ。
やってはいけないときに。
何度も確認したはずなのに、「確認しました」と
言ったはずなのに
うそをついたのではないかと思われる
緊張感がない、やる気がない、危機感がない
全部そうかもしれないけど、わからない
経理事務の人の、おなかから伝わるぴりぴりが
私の全身を刺すような気がするから
まともにものが考えられない
それがなおさら、理解力不足と
ここにある数字は「正しくない」のだ
それだけが事実なのだ
直視せよ、してますって。
「ねえわかる?」わかります。
迷惑かけて、ほんとごめん
数字が違ってたら、困るよね
何度やらせても間違えたら、あきれるよね
でも、そうなっちゃったんだ

私、話すとおもしろいんだよ
友達だっていっぱいいるよ
フツーに見える
でも、たくさんの困りごとを抱えて生きている

「あなたのような人がいると、回らなくなっちゃうのよ」
意地悪だなぁ。
でも、そうだよな。
私のように、ごみの分別を間違え、遅刻をし、忘れ物をし、計算間違えをやらかす人ばかりが
この世の大半だったなら
世界はしっちゃかめっちゃかで
どうにもならなくなってしまうだろう
でも、なんだかそうだったらいいなぁ
時間なんてない、ごみなんて出さなくていい、朝起きなくていいし、歯も磨かない
エクセル計算なんてない、そもそもパソコンなんてない
持ち物なんていらない、いつも手ぶらでいい、そもそも会社なんてない
テキトウでいい、人類は発展しない
もしかしたら原始時代のまま?あ、でもビールぐらいほしいか
人はみんな、テキトウに生きて、テキトウに死ぬだろう
そういう世の中になるだろう
わあ、すてきだな。


自由詩 テキトウに、生きる Copyright うめバア 2014-09-21 04:14:22
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