自己評価ベスト3
深水遊脚


 中村くらげさんの提唱された「自分の詩を読み返そうキャンペーン」に、短歌もありと拡大解釈してのってみました。作品数が少ない私ですが、いつも5首まとめて投稿している短歌をバラしてみたところ、ベスト3を選ぶには丁度よい数になりました。連作の他の歌やタイトルに依らずに、単体でよいと思える歌が少ないことにも気づきました。これからの課題とします。では、参ります。




第3位

晴れのち雨 すがりつく昔の歌を上書きし終えた土の匂い


 少し前までのきつい陽射しが気付いたら柔らかくなっており、土と草の匂いが立ち込めて鼻の悪い私でも雨が降るとわかる状況でした。非日常的な空気と、「その歌にすがるのはもうやめよう」という自分によくかける暗示が混ざりました。


第2位

風船が歪み飛び出す水の球 複眼の視界から逃げられず


 水の球と複眼とを繋げて序詞のような効果を出したかったのですがそう説明すると少し無理がありますね。でも思いがけない相乗効果もある気がして、自分ではとても気に入っています。


第1位

一滴の血くらい惜しいわけではない 羽音が釣り上げる殺意のレート


 蚊が憎い心理と理不尽な殺意にはそれほど距離がないこと、何度か詩にしましたがこの歌は会心でした。釣り上がる相場の価格のように実体のないものに駆られてしまう自分自身をみつめておきたいです。


散文(批評随筆小説等) 自己評価ベスト3 Copyright 深水遊脚 2014-09-19 21:35:10
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