長月にすむ
千波 一也
さほど
離れてはいないところ、の夏
されど
懐かしさがにじみ始める、夏
夕暮れを
言葉で描いてみるけれど
この手に握る貧しさが
あらわになるだけ
秋風はみえざる火
この身を清涼に燃やし尽くして
灰ならずこころを散らす
すむべきところ、は
選べない
それは生まれ落ちたときから
長月、と定まっている
自由詩
長月にすむ
Copyright
千波 一也
2014-09-19 19:22:54