鬼が笑う
狐ヶ崎

僕は僕の言葉が好きだ
誰より僕の言葉が好きだ
誰の言葉より僕の言葉が好きだ

自己愛の塊
自己顕示欲の塊
醜い塊
醜いと塊は似ている
鬼の威圧感に息が詰まる
自分を好きなんてくそくらえだと鬼が笑う
得もしない名声と賞賛に浸りボタンを押す僕を鬼が笑う
自己愛ばかり膨らませ
自分が一番だと嘯く
そんな僕を鬼が笑う
わかってるわかってるんだ

僕の言葉は出来損ないだ
「メッセージ性」とか「コンテンツの有効的ななんとか」だとか
よくわかんないし
知ったこっちゃねえし
僕の思うことを書き散らしているだけだし
歌にも詩にも小説にもならない記号だ
じゃあこの言葉はなんだ文字はなんだ
なんのために生まれてきたんだ
価値はあるのか
意味はあるのか
これじゃ僕と同じじゃないか

挫折と絶望
だなんておこがましい
努力の果てに得るはずの感情の紛い物に怯える悲観する涙する苦悶する
僕の言葉がいつか誰かに届くようにと
願いながらまた押す
依存的に呟く
笑えるでも泣けるでもつまんないでもムカつくでももうなんでもいいよ
僕の言葉はあなたに届いていますか
僕の言葉はあなたを動かしましたか
教えて教えなくていい怖いよでも知りたい

だから僕はまた


自由詩 鬼が笑う Copyright 狐ヶ崎 2014-09-15 23:23:27
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