フリッジ
和田カマリ
死体をぎっしり詰めた
冷凍庫の扉を開けると
数え切れないほどの凍えた魂が
僕たちの町に飛び出して来た
本当に長い間
カチンコチンに
凍らされていたので
ほとんどの魂は
重度の認知症に罹っていた
町を徘徊する
これらの魂は
木の枝に引っ掛かったり
屋根上の猫の爪や
カラスの嘴の餌食になった
自分がどこにいるのか
自分が誰なのか
分からないので
モーン
モーンと
うなり声を上げながら
ちょっと暴力的になって
今夜もあてもなく
彷徨っているのです。
自由詩
フリッジ
Copyright
和田カマリ
2014-09-15 17:44:09