親愛なる詩人達へ
ヒヤシンス


赤錆びた内なる世界から
私の退屈な半身が生命の扉を開けた。
今度は長旅になるらしい。
私は我が生命の光が再び灯るよう、半身に祈りを捧げ、見送った。
意気揚々と旅立つ若者に、私の心は鋭く反応した。

しばらくした後、若者から手紙が来た。
彼の目を通して私は見た。
驢馬や動物たちの貧困、物乞いの熱狂、晩鐘に祈る農夫たち、
全裸の娼婦、都会の喧騒、隣人の歌声、月の満ち欠け。
道路脇に可憐な花を咲かせる名も知れぬ雑草。

しかし彼が本当に伝えたいものはなんなのだろう?
私にはしばらく分からなかった。
その後の手紙で、彼はようやくひとところに定住したようだ。
そこは広漠とした砂の都であった。
そこには全てを潤す泉があった。

泉に顔を近づけるとその中に美しい地球が映し出されていた。
それこそは我らの生命の輝きそのものであった。
私も若い旅人もその輝きに魅了されたのだ。
生命の輝き。魂の輝き。生の煌き。
その時私の生命の光が再び灯り始めた。

我が半身は既に分かっていたのだ。退屈の意味を。
そして最後の手紙が来た。
我々は最後の泉を飲まなければならない。
なぜならそれが一番旅人の喉を潤すから。
その泉の名は「忘却」という。


自由詩 親愛なる詩人達へ Copyright ヒヤシンス 2014-09-14 01:58:14
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