親愛なる詩人達へ
ヒヤシンス
赤錆びた内なる世界から
私の退屈な半身が生命の扉を開けた。
今度は長旅になるらしい。
私は我が生命の光が再び灯るよう、半身に祈りを捧げ、見送った。
意気揚々と旅立つ若者に、私の心は鋭く反応した。
しばらくした後、若者から手紙が来た。
彼の目を通して私は見た。
驢馬や動物たちの貧困、物乞いの熱狂、晩鐘に祈る農夫たち、
全裸の娼婦、都会の喧騒、隣人の歌声、月の満ち欠け。
道路脇に可憐な花を咲かせる名も知れぬ雑草。
しかし彼が本当に伝えたいものはなんなのだろう?
私にはしばらく分からなかった。
その後の手紙で、彼はようやくひとところに定住したようだ。
そこは広漠とした砂の都であった。
そこには全てを潤す泉があった。
泉に顔を近づけるとその中に美しい地球が映し出されていた。
それこそは我らの生命の輝きそのものであった。
私も若い旅人もその輝きに魅了されたのだ。
生命の輝き。魂の輝き。生の煌き。
その時私の生命の光が再び灯り始めた。
我が半身は既に分かっていたのだ。退屈の意味を。
そして最後の手紙が来た。
我々は最後の泉を飲まなければならない。
なぜならそれが一番旅人の喉を潤すから。
その泉の名は「忘却」という。