村長と少女
陽向

衝動的かつ冷静さは皆無
迷うではなく凶暴
未来の為ではなく今の欲

それが私だと村長は言った
「皆からは素晴らしいと言われる」
心から残念そうに呟いた

少女には意味が分からなかった
でも可哀想と思った
「私は今分数をやってるの」
村長はいつの間にか眠っていた

次の日 村長が息を引き取った
少女は何も知らず 分数を解いている
「上が分子で下が分母だよ」
少女は知ってるよと思った
「上が母だったら子は潰れちゃうからね」
少女は「ほんとだ!」と呟き村長を見ようと思ったが村長はどこにもいなかった
あれ?

それから 村長は少女にだけは見える
いつもと同じソファの上で 
皆からは素晴らしく見えていた 悲しい顔をして座っている


自由詩 村長と少女 Copyright 陽向 2014-09-12 18:16:53
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