郷里の秋
ヒヤシンス

見上げると、木漏れ日は白く
辺りの緑を淡く包んでいる。
優しい。
ただひたすらの優しさが僕を愛撫する。

沈黙する森の中でころころと流れる風。
郭公の呼び声も既に久しく、ひぐらしさえも歌わない。
せっかちな秋鳥は密かに冬の到来を予感する。
遠くで鳴き続ける虫の声がする。

灼熱と極寒の間に挟まれた朧な季節。
それでも僕はあなたを見つめている。
愛すべき季節が目の前に在る。

胸一杯に秋を吸い込むと
優しい緑の味がする。
どこかの畑で煙が上がる。


自由詩 郷里の秋 Copyright ヒヤシンス 2014-09-12 14:24:59
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