IllKIllU
凍月



昨日君は僕に言った
「もう、終わったの」って
「もう、止めにしましょう」って
「もう、別れましょう」
「あなたが何だか遠くに感じて怖いの」
それから彼女はさよなら二回でごめんなさいを挟んで行ってしまった
一人道で立ち止まり
何も見えないし
何も考えられないし
何で君が
「ごめんなさい」って言ったのか
考えながら
爪が割れるまでこの肌を掻き毟った

ねぇ
ありがとう
君といれて良かったよ
僕は幸福だった
僕は幸運だった
だから、ね
殺してあげる
あなたが好きだった
だからきっと
僕があなたを殺してあげる

世界が灰をかぶった
砂漠の中で一人の僕に
箱舟なんて無い
雨は何故だか降らなかった
地面が割れる日照りの今日は
あなたを失い
死にかけているけど
世界が滅びるまでは結局
神様は現れないらしい
植物の生い茂る野山も同じ
一瞬にして枯れきってしまったようだ
熔岩が流れ出して生命のいない海を埋める
空がぼろぼろと焼け落ちて
真っ黒な宇宙が口を開く
火と硫黄、生贄と水中の都市
独り問う
いつのまにか手の中にあった
銀色のナイフの使い方

僕はきっとあなたを殺す
君が僕の傍にいないのなら
この世からいないのと同じでしょ
今までの感謝を全部込めて
最高の笑顔で君を殺す
ゆっくりと優しく
君の為に涙を流してあげる
殺してあげる
僕の為に
君の為に
あと二日したら
君に死を届けにいきます
宛先:親愛なる君へ
僕より死を
あなたの為に


神様、僕はあの人を
殺してあげる
って誓います


でももし君が僕を殺してくれるなら
僕は喜んで君に殺されよう
それなら本望だし
そっちのが美しい
にっこり微笑んで殺して下さい
君の笑顔と共に死ねるなら最高さ
何で泣いてるの?泣かないで
君はもう
涙を流す必要なんてない


殺してあげる
君の為に
殺されてあげる
君の為
あなたの為に
あなたの為に
あなたが好きだった
だからきっと
殺してあげる

僕は静かに瞼を閉じて
手を合わせて心から祈る
君の事を
あれ、君は何で震えているの?
可哀想に
そんなの君には似合わないよ
だから
心より愛を込めて
殺してあげる






自由詩 IllKIllU Copyright 凍月 2014-09-11 23:41:54
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