「まほうの西瓜」
といいますと、ハロウィーンのかぼーちゃを思い出しますね。僕のおかーちゃんはよく、かぼちゃの中身をくり貫いて中に蝋燭を入れてくれたんですが、「今年は西瓜でやろうかしら。」って。
とか思ってたら、もう12月になってて、僕は年を取りすぎてた。もうそんなこと、進んでしようとする人なんて何処にもいなかった。ついでに僕はスイカアレルギーになっちゃって、、、食べるだけで、唇が腫れちまうんですよね。
だから、僕は、今年は、町の夏祭りに参加するの辞めて、電車で旅行しようってきめたんです。この方法なら、どこにでも一人で行けるもんね。
タッチANDゴーされた僕のSuicaの上に塩がまぶされ、一回り小さくなったまほうの西瓜は水滴となり、三番線のホームを赤く濡らした。僕は電車に乗り込んだ、
夏休みのなくなる年に、ここから出て行くことにした。窓の外の次々と過ぎ去って行く風景を、五年前、毎日眺めていたあの頃は、なんとも思っていなかった。緑を、日差しを、特急列車は全てを洗い流していった。
...とか、なんとか、スイカバーを食べながら、また昔のこと思い出してたら、僕の隣と前にある三つの関係が、静かに揺られながら、無垢な寝息を立てていた。僕は昨日切ったばかりの髪をかきあげながら、また窓の外を見て、光彩に映る、幾度も過ぎ去った暖かい光を、季節を、過ぎ去るように、また同じように焼き付けながら、スイカバーを食べた。西瓜はダメなのにスイカバーはいいのね、なんて、起き抜けにそんなこと言わなくたって、とか僕はいいながら、でも、これには魔法がかかってるからいいのさ、といいかえしてやった。/次、止まります。
即興ゴルコンダ(
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