たそがれ
nemaru

話の前後は覚えてないが
がんばらなあかんなーと言った
隣にいる人は
せやでーと言った
夕暮れ
川沿いの道につづく石段
中ほどに座り込んで
雲の際の輝き
暗く沈んだ
民家の重なり具合
遠くのビルに描かれたP
行き交う人
行き交う自転車
じじい特有のしつこいベルに
特に執着することもない
ふたりの目は
簡単に持っていかれた
同じ道を歩いて
同じぐらい疲れていた気もするし
お昼には
並と大盛りの違いこそあれ
同じものを食べていた気もするし
そもそも
何をがんばるのか分からないし
何がせやでーなのかも分からない
ただちょうどいい風が吹いていて
同じように浴びていた
こんなとき
ふたりで帰るにはまず
おったんかいなーと言う必要があった


自由詩 たそがれ Copyright nemaru 2014-09-11 07:20:46
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