広げた手のひら
加藤

目を向けると 気付く
何がほしかったのか?
何を思っていたのか?
希望とたくさんのやさしさが
胸の奥に残っている

そういえばいつから
分からないものが増えて来たんだろう
嫌だと言って聞かなかった
体を曲げて拒んでまで私は何を守りたかったんだろう

守ろうとしたものなんか何もなかった
からっぽの砦を外から囲んで
自分勝手に怯えていた

誰のせいでもない
そういう内心ドロドロと 燃えただれるような音
おかしいのに 止められない
おかしいと思うことはおかしいことじゃない

白い影が通りすぎる
何度も何度も
行く数を数えていくうちに
朝も夜も消えていく
気付かないうちになくして行った
影は次々に入って来て
根こそぎ うばって行ったけど
それでいいと思ったのは あきらめじゃなくて酔いしれていただけ

目を背けてひたった冷たさが 痛くて 見ないふりをした
望まずに求めていた

なんとおりもの色が 染み付いたままで
たくさんの答えにあふれている今日を祝おう
昨日から明日へつながるための場所
筒抜けて風通しのいい やわらかい光の場所
知っているから 続いている
願いを引き替えにもらった 月日の成り立ち


自由詩 広げた手のひら Copyright 加藤 2014-09-10 02:47:33
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