彗星のうた
梅昆布茶
僕たちはすれ違う小彗星のように
尾をひきながら歌って生きてゆくのだ
そのときに交感した想いだけが
やさしいえねるぎーとなってさらに
宇宙の深奥へと誘われる生命なのだから
まだ魚だったころの海の深さを知っている
だから空の蒼さに心惹かれるのかもしれない
僕たちは重力から解放されようとして
さらに重力を加速させる
断熱材だった鱗は陸にあがり
いつしか空飛ぶ羽毛に変わる
可視光線の世界を紫から赤まで散歩したら
ちょっとずつその絵の具をつかって
なにかを描いてみようか
たぶんちっとも生産的では
ないかもしれない自分の言葉で
こけつまろびつ軌跡をえがく
進化から外れた系統樹の果てに
夜の帳をおしあけて海の風を感じる
貝殻になってスローバラードを口ずさむ
そんな彗星たちのうたが聴こえるきがする夜だ