彗星のうた
梅昆布茶

僕たちはすれ違う小彗星のように
尾をひきながら歌って生きてゆくのだ

そのときに交感した想いだけが
やさしいえねるぎーとなってさらに
宇宙の深奥へと誘われる生命なのだから

まだ魚だったころの海の深さを知っている
だから空の蒼さに心惹かれるのかもしれない

僕たちは重力から解放されようとして
さらに重力を加速させる

断熱材だった鱗は陸にあがり
いつしか空飛ぶ羽毛に変わる

可視光線の世界を紫から赤まで散歩したら
ちょっとずつその絵の具をつかって
なにかを描いてみようか

たぶんちっとも生産的では
ないかもしれない自分の言葉で

こけつまろびつ軌跡をえがく
進化から外れた系統樹の果てに

夜の帳をおしあけて海の風を感じる
貝殻になってスローバラードを口ずさむ

そんな彗星たちのうたが聴こえるきがする夜だ


自由詩 彗星のうた Copyright 梅昆布茶 2014-09-09 20:38:18
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