ブルーマンデーキック
ユッカ

かなしいことを考え睫毛をふせていると
どんどん頬がやせていくような気がして
カーブミラーにむかって微笑むのだった
指先でなぞれば引っかかる些細な
自分と世界との境界線で
うずくまってばかりだ あたしは

あなたが不道徳な愛に積極的なのは
善良な世界への あてつけか何かですか
それとも自分を傷つけて安心しているのですか
競うように短くしたミニスカート
すれ違うスーツの全部が
「本当はこんなことしたくないんだ」って
言ってるから
じゃあやめろよって蹴り飛ばす

ねえそこは
どんな世界ですか

(言ってみろよ)


以前見た映画で
哲学者が娼婦に向かって
ひとりの男の話をするシーンがありました
「ある爆弾魔が ある日いつものように爆弾をしかけ
生まれてはじめて考えた
なぜ走る時 右足と左足が交互にでるのかと
そうしてうまく走れなくなってしまい
彼は爆発に巻き込まれ死んでしまう

考えたがゆえに死ぬんだ」


ロングスカートから伸びた脚をしまい
考えるに
あたし達に百年はちょっと長い
だからせめての慰めに
おやつにチョコ
夜にはビール
そうやって我慢して
この無言の朝を通過する
あなたは素敵な人だよと
愛してもいないくせにそんなこと
言ってはいけないですか


自由詩 ブルーマンデーキック Copyright ユッカ 2014-09-08 22:02:46
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