女の子の銀河鉄道
もっぷ
遠くてどうしようもないところにある
でも大切な里にゆきたいとお金を貯めていた
わたしは消えてしまうのだけど
#
女の子がそれを知る前
暖かな手のひらが彼女にスプーンを手渡して
は、顔が無いままの歳月が長く
その不在に気がつくほどの歳になった彼女を
やがて追い詰めてしまうようになった
、だから
女の子はいつでも泣いていた
足りないものを求めながらということが
明らかな、そのかなしみを隠すすべもなく
泣いていた本当に
足りていなくてでも
口に出してみたことがなく
泣いている理由が言えないままにいつか
こんな日を迎える
#
遠くてどうしようもないはずだったそこは
顔をあげたらすぐ目の前にあった
わたしは女の子でと自己紹介をはじめると
いや、ただの女の子ではないよと
優しい声がしてお金を受け取らずに言う
足りなかったそれだあたまがごっちゃになる
いま居るここはここはここは
大切な里なんだ信じても構わないのですね?
見知らぬはずの手のひらのひとが微笑んでる
ではなくてそれは
誰かではなくて 場所 で
そこには 私 のためのこども用の椅子が
「家の子に家のスプーンを」
あとはもう消えて、
からのできごと