Gの上空
ハァモニィベル

遠近法が麻痺した囚われの眼(まなこ)を
墜ちるのを怖れた誤読の盲人たちが崇める
しんなりとした粘性の絨毯は織り上げる程
未来を消し去り 響きを失った時空に
拡がっている 奇妙な、奇妙な諧調


わたしは、寝台列車をキセルしたまま
ガタンゴトン、ガタンゴトンと どこまでも
どこまでも各駅停車をくり返し
同苦の色に塗れた寓喩ばかりを見ている


感情の不良債権は
回収の見込みも無いまま
分別したごみ回収日は
きちんと守らねばならない
人々の
不可視の奥で
折れた骨が痛むところを
日々が囓る


その上では 味のない硬いスルメが
まるで凧のようにびっしりと
空いちめんを埋め尽くしながら
いつまでも 半透明な風の中を
ホラティウスの哄笑とともにクルクルと舞っている









自由詩 Gの上空 Copyright ハァモニィベル 2014-09-07 03:53:42
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