午後と手のひら
木立 悟






水底の傷
陽を見つめつづける
水底の傷


霧の奥の棘
言葉を抄えない
霧の奥の棘


空き地をわたる風が
目を潤ませる
昨日の雨
昨日の文字


遠い音が到き
思い出してゆく
ひとつの午後
夜に覚める午後


霧の上の霧
けだものは馳せ
行方は光り
蒼い粒となり


夜をさえぎり
夜は通る
まばたき またたき
蒼まとう午後


高く さらに高い場所
すぐに消え去る言葉の降る場所
人指し指を中指に乗せ
さらにこぼし こぼしつづける
愚かな手のひらをひらいてゆく





























自由詩 午後と手のひら Copyright 木立 悟 2014-09-05 09:15:23
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