罪を売る
りす
育てた罪を持って市場へ行った
飢えていたから金が
欲しかったのだ
金があれば食える
食えば生きていける動物に
僕はなりたいのだ
老練な仲買人は言った
自分で育てた罪なんか
売り物になりゃしない
苦しんだ?
そりゃいけない。
苦しめば苦しむほど罪は
濁って汚なくなる
価値が無いのさ
それでも僕の罪は売れた
手に入れた僅かな金で
半年は食っていけるだろう
半年の間にまた
罪を育てればいいのだ
「新しい罪」
その言葉に僕の胸は弾んだ
罪の種を一粒 心臓に埋めた
今度は明るく楽しく罪を育てよう
仲買人が飛びつくような
美しい罪を