黒い虹の絵
中村 くらげ

夏だ




夕立はバリバリと瓦を噛んでいる

私は雷のようにゴロゴロと暇を持て余している

朝から付けっ放しのテレビでは

子供向けの絵画講座が流れていた

暇は右腕を勝手に動かし

机に転がっていた鉛筆で虹の絵を描き始めた

下手な絵描きの腕前では

幾重かのアーチが並んでいるだけ

これでは淋しいと暇は呟き

またも鉛筆で色を塗りだす

すると当たり前に真っ黒の塊なった

まるで長く続くトンネルのようだね

自分の絵心のなさに悲しくなるけれど

その先には光が見えているようにも見えた


長いトンネルを抜けるとそこは

真っ白な画用紙であった

そんなことをにやにや考えながら

ぐいと顔を上げると

蝉の声

雨音も岩にしみ入った




夏だ


自由詩 黒い虹の絵 Copyright 中村 くらげ 2014-09-03 01:55:49
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