やめた男
花形新次

目眩のするような暑さが
身体中の水分と思考能力を奪う頃

この街の葉の緑は
あのとき忘れてきた
大切なアルバムの1ページ目に
相応しかったと気付いた

みんなで語り合った
中野の喫茶店
クーラーの効かなさなんて
問題じゃなかった
ただ、永島慎二だけが
確かに思えたっけ

夏のブロードウエイに
雪が降る

旅立ちの日は
人影もまばらで
みんな不平不満を口にしていた

おまえは
冷たい鉄人28号を抱えた
犯人の画像を見ながら呟いた

「鉄の巨人も信ずるに足りない」

Oよ
やめてしまったOよ
おまえのまんだらけは
まだはじまったばかりなのか





自由詩 やめた男 Copyright 花形新次 2014-09-02 20:36:43
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