ノイズ
塔野夏子

ノイズ
世界から降ってくるノイズ
を増幅しつづける過剰な神経

らんらんとかがやいてしまう意識
この苛立ちからは逃れられない
僕が世界から逃れない限り
あるいは
僕が僕から逃れない限り

ノイズ
ノイズ
ノイズ
を降らせる世界のあらゆる事象に対して僕は無力だ
ノイズ
ノイズ
ノイズ
を浴びつづけそれを過剰な神経が
いたずらに増幅しつづけるだけ

それでも僕は夢を見るんだ何故だろう
ノイズ
ノイズ
ノイズ
に蝕まれた心身で
自分でも馬鹿げていると思うほど
綺麗な夢を

ノイズを降らせる世界からも
ノイズを増幅させる僕からも
僕は逃れようがない
苛立ちを抱えつづけたまま
けれど馬鹿馬鹿しいほど綺麗な夢を見つづけて

ノイズ
ノイズ
ノイズ
のただ中に僕は僕の輪郭を
あぶり出してゆくよりほかはないのか
ノイズ
ノイズ
ノイズ
を増幅しつづける過剰な神経が
僕を踊らせるままに

     いつのことだったか
     誰からも何からも遠ざかった
     白い静かな場所で
     僕は心穏やかに佇んでいました
     ――そんなイマージュが
       時折意識の遠くに
       ぽっかりと浮かぶのです





自由詩 ノイズ Copyright 塔野夏子 2014-09-01 10:24:29
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