「失いました」
宇野康平


けずれて少なくなった消しゴムは、

いつも終わりがくる前に無くした。

使われた最後を想像する。

電光掲示板に流れる人身事故。

けずられてなくす前に無くした。

バナナを踏んで転ぶような

冗談のように簡単に無くした。

いのち。


自由詩 「失いました」 Copyright 宇野康平 2014-09-01 00:26:24
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