ある冬の空
吉岡ペペロ
十代のころある冬の空
ぼくはそれを観にそこに行った
前日はひとり旅館に泊まった
テレビでは夜のヒットスタジオ
売れはじめたTMネットワークが出ていた
畳に敷かれた布団に寝転んで
ぼくはそれを自由な気持ちで眺めていた
翌朝はそれを観にそこに行った
埃くさい湿りに春などを感じながら
そこで2時間ばかりそれを観ていた
そこでなにを探していたのだろう
なにか見つけたのだろうか
それはそこで、
その最先端で合掌していた。
その最先端のそばにぼくは2時間いた
ぼくはその日卒業式ではなく
それを観にそこに行った