同窓会
Lucy

(1)

変わっていないとあまり言われると
複雑な気分
私だって歳月をかけて
自分を磨いてきたんだし
それなりに成長してきたつもり
ポケモンでいえば超進化形ぐらいには
なっているはず
なのに
綺麗になったと言われる年齢を
遥かに過ぎた今となっては
「変わっていない」は最大級の褒め言葉
誰かが持ってきた卒業アルバム
ほら変わっていない
どこから見ても
どこで会っても一目でわかる

男子の一人が写真を指差す

どうみても
今の私とは似てもにつかない
しょんぼりと自信なさげな
淋しい少女が
上目遣いで写っている


(2)

大嫌いだった政経・倫社の先生が
マイクの前で深々と頭を下げる
私は76歳になりました
あの頃はまだ三十代で
自信過剰で傲慢だった
自分が何も知らないことに気付かず
皆さんに向かって随分と
生意気を申し上げた
この場を借りて
お詫びしたい
などとおっしゃる
「あの先生傲慢だから大嫌い」と言っていた
学生の頃の自分のほうが
はるかに傲慢だったと気付く


(3)

どんな賑やかなパーティよりも
ここに集う
普通のおじさんおばさんたちは
和やかで華やいでリラックスして
いきいきと輝いているだろう

様々な立場も
身分も
利害も上下関係もなく
高校生の気持ちに戻って

ひとりひとりが
あの頃よりも
はるかに優しい大人になって






自由詩 同窓会 Copyright Lucy 2014-08-28 14:23:57
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