あおい満月

シェーキを押しつぶす指圧が
この喉にせまる
(ころしてやる、ころしてやる)

魔女の喘ぎ声が
携帯電話をへし折ろうとする。
血にまみれた両手で
パトカーのサイレンを待つ。
程なくして、
警察が玄関にきた。
母親は背中で血を拭きながら
なに食わぬ顔で応対する
娘の喉には、
血の痕が残っている

わたしだけが知っている事実を
国家公務員に話しても伝わらない。
この家には、
恐ろしい黒魔女がいます。
黒魔女は、
白い鳩を捕まえて
丸焼きにして
酒の肴にしました。
わたしの肩にもほら、
かぶりついた痕があるでしょう。

黒魔女は、
閉じ込めるのが好きだから、
シャワーの流れる排水溝から
海へ逃げてしまいましょう。
その左手を掴まえたら、
遠く高い大地の果てへ
焼き印を押しつけて
、さあ!


自由詩Copyright あおい満月 2014-08-26 22:16:36
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