12
きるぷ

目が覚めて
ぼくはそのことを新たに自覚し直すと
やらなくてはならないこととして
すべてのあなたを
丁寧に土に埋めた

庭の木の
葉群が揺れる音以外には
何も聞こえないかのような
よく晴れた静かな休日で
土曜日は確かに壊れ始めていた

ベースボール・キャップを被った少年が
自転車に乗って
こちらへと向かって来たが
見る間に横を通り過ぎ
遠くに去って行った
それはまるで風のようでもあり
時間のようでもあった

そうだ、何も起こらないのだ
こんなふうに
たぶん今日のように

部屋で
いつ買ったのかも忘れた古い写真集をめくり
愛する者の目によって写されたに違いない
どこかの誰かの後ろ姿を
眺めつづけていた


自由詩 12 Copyright きるぷ 2014-08-24 23:24:27
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