12
きるぷ
目が覚めて
ぼくはそのことを新たに自覚し直すと
やらなくてはならないこととして
すべてのあなたを
丁寧に土に埋めた
庭の木の
葉群が揺れる音以外には
何も聞こえないかのような
よく晴れた静かな休日で
土曜日は確かに壊れ始めていた
ベースボール・キャップを被った少年が
自転車に乗って
こちらへと向かって来たが
見る間に横を通り過ぎ
遠くに去って行った
それはまるで風のようでもあり
時間のようでもあった
そうだ、何も起こらないのだ
こんなふうに
たぶん今日のように
部屋で
いつ買ったのかも忘れた古い写真集をめくり
愛する者の目によって写されたに違いない
どこかの誰かの後ろ姿を
眺めつづけていた