その虫は
どこからともなく現れて
花に潜り込んで喰っている
払い落そうとしても
逃げもせず
しがみついて
貪り喰っているので
憎らしい
しかもとても醜い虫で
気持ちが悪い
その虫の名前も知らないし
なぜ花を喰うのか事情も知らない
本当に喰っているのかどうかも
実は定かではない
その虫が食い付いているのを見た翌朝は
たいてい花は変色し枯れているので
犯人はこいつだと決めつける
庭の所有者は私
花を守るのは私
管理するのは私
権限は私にあって
すなわち神は私なので
害虫と決めつけしだい
殺す
もちろん勝手に生えた草も殺す
決めるのは私
冷静に無慈悲に
堂々と迷わず
エゴを正当化して
心を痛める事もなく

私の大切な花を喰う虫なので殺しました
私好みの美しい庭を実現するという
正しい目的のために
私が命を選別しました