「夢落ち」
宇野康平

非常階段は踏み外した人を食べる。

非常階段は踏み外した人を食べる。



非常口のドアノブに手をかけたとき、

後ろから背骨を抜かれた魚のような

眼をした男と出会った。

現実が夢か。男は言った。

夢が現実か。夢が。夢が。夢が。


遠のいた。現実か。


夢ならば覚めてとお人形さんの格好を

した中年の女は電柱を抱いて寝ていた。


自由詩 「夢落ち」 Copyright 宇野康平 2014-08-21 00:10:52
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