優しいままでいておくれ など二篇
クナリ

<優しいままでいておくれ>

くたばりくたばり仰向けば
変わり者を見る人の群れ
思い出だけで奮い立ち
いいことあるさと言い聞かせ

嘘かほんとか分からぬままに
答えることが求められ
過ち恐れず声上げて
正しさ失い真っ逆さまよ

戦うための理由など
いつだってどこか正しいさ
抗うための理由など
振り上げた拳についてくる
傷つけられ損はまっぴらごめんと
君がいなければそのままだった

強くなりたいと願う歌は
戦う相手のいない世界でも流行るもの
強くなった人々が
失ったものを見えなくさせる世界でも流行るもの

見捨てる強さ
引き剥がす強さ
踏み潰す強さ
泣かない強さ

奪い取る強さ
取り締まる強さ
泣かせる強さ
泣かせる強さ

優しさこそが強さだなどと
うそぶくつもりは今更ないが
弱いままでもいいのだなどと
のたまうつもりは毛頭ないが

優しいままでいておくれ
優しいままでいておくれ

世界がどんなに見下そうとも
他人がどんなにあざけろうとも
君を探す人がいつもいる
君を探して泣いている

優しいままでいておくれ
優しいままでいておくれ

君がいなければ土くれ一つ
土でいられやしないから
君でなくなれば野の花一つ
顧みる人もいないから

優しいままでいておくれ
優しいままでいておくれ

優しいままでいておくれ
優しいままでいておくれ。








<裏切られて裏切られて>

それでも君を守る
馬鹿もいる。


自由詩 優しいままでいておくれ など二篇 Copyright クナリ 2014-08-18 20:21:06
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