湿っている
吉岡ペペロ

蒸し暑い曇天にカミナリがときどき光っている

だいぶたってから音が聞こえる

町並みが湿っている

湿っている

悲しい気持ちが詰まってくる

戦争と疫病を向こう側に見ながら

猟奇殺人と賎しい役人にじぶんたちの闇を見つめている


従軍慰安婦が強制されたものだったのかどうかは

軍人だった沢山のひとたちに聞けば分かることだろう

戦争というものは

負けたら尾をひくということだけははっきりとしている

あの戦争に突入した切実さとはなんだったのだろう

なにものにも代えがたいそれは切実さだったのだろうか

金がなくて軍事力があったから始めてしまった戦争

金持ちどうしの戦争なんて昔っからなかった

金がない国は粘り強く戦争を継続するか

落としどころをはやく見つけるかしかないのだ

疫病と放射性物質

疫病の封じ込めは6ヶ月だそうだ

放射性物質のほうがはるかに酷い

猟奇殺人の特徴はその命の扱い方の軽さだ

賎しい役人たちもじぶんたちの仕事の重さを忘れている

命や仕事を重く感じることの欠如

戦争もそうだ

疫病もそうだ

疫病や放射性物質を軽く扱っていてはならない


蒸し暑い曇天にカミナリがときどき光っている

だいぶたってから音が聞こえる

町並みが湿っている

湿っている

悲しい気持ちが詰まってくる

戦争と疫病を向こう側に見ながら

猟奇殺人と賎しい役人にじぶんたちの闇を見つめている









自由詩 湿っている Copyright 吉岡ペペロ 2014-08-17 01:26:22
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