出来れば
瑞海




今寝転んでいる布団で
眠るように死にたい

出来れば
最高級羽毛布団にして

床の傍らに
「愛する人」なんかつけちゃって

夢十夜の第一夜みたいに
ロマンチックに死にたい


出来れば
死ぬ前に大好物を食べたい

和洋折衷、中華にアジアン
たらふく吐くほど食べたい

もう食べれない!って
言えるぐらい目一杯食べたい

出来れば
食べる前にすこし出かけたい

色々な人にお礼しにお宅を回って
葬式には来てやってください
と言いたい

帰りに海を見て
最後の涙を流したい 一人で


出来れば
出かける前に新しい服を変え揃えたい

最後のお出かけだから
一丁前にキメたい

似合わなくったって
自分が好きなものを選びたい


出来れば
新しい服を買う前に笑顔の練習をしたい

好きな服で好きな人に会って死んでゆくなら
忘れた笑い方を学ぶ必要がある

ーお腹をおさえて、はっはっはっ!!というだけです
ー僕にはとんと難しいみたいだ

僕の頬に触れる手が
すごく冷たかったのをまだ覚えています




自由詩 出来れば Copyright 瑞海 2014-08-17 00:01:47
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