お別れ
nemaru
はじめて見たとき、
歩き方にピンときて。
お互い隠してはいたけれど、
やっぱり同じところが錆びていて。
嬉しくなって、
同じぐらい雨風にさらされて(笑)
同じぐらい錆びついて(笑)
油なんか、一回も差されたことないやー(笑)って。
毎晩、錆び具合を確かめ合ったりするようになって。
出かける前には、
ひとつしかないゼンマイねじを
代わりばんこで背中に挿して、
壊れそうな音がするまで
めいっぱい回して。
目の奥がジンジンした。
満タンになった君は、軋みながら自転車に乗って、
色んな所に行こうとした。
僕も軋みながら、その後をついて回った。
僕らは邪魔にならないように、
ちゃんと左車線の路側帯を走った。
君に話しかけると
並ぼうとするから、
変に黙って走る癖がついて。
君の背中の穴をよく見るようになって。
僕にもあるんだなーって。
それから少しずつ、
悲しい事を考えるようになった。
ごめんね、