果て
Giton

北のはてでは夏のさかりがみじかい
浜に咲きいそぐ大振りの花弁が悲しい
北のはてでは午後の日はながい
こどもたちは海から上がると
ひからびた流木を焚いて暖をとる

南のはての海に突きでた丘のうえ
朽ちかけた鳥居の傍らにテントがふたつ
そこだけが水中の珊瑚のように輝く
人のない白砂はくしゃにうちよせる解かれなかった暗号
沖に停泊する灰色の巡洋艦

ひとの背丈の2倍はある甘蔗きびの畠に分け入っても
斑らに放置された直播き田をさまよっても
いつもきみのすがたは視野のかなたに踊る

なにもかもが寝静まった真昼の孤島
尖った岩頸が太古の夢をむさぼっている
その頂きまで 丈高い草だけがつづいている


自由詩 果て Copyright Giton 2014-08-14 23:21:53
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