白菊の香り
ichirou
盆の入り
スーパーの店先にはたくさんの花が並んでいる
私は小さな白菊を一束買って
位牌も仏壇もないアパートのテレビの横に添えた
命の儚さに狼狽え
己の傍観者面に辟易し
せめて大切な人を守るために
私たちが戦争に巻き込まれそうになったら
身体を張って抵抗するんだと
つぶやくと
澄んだ白菊の香りが
私のそんな言い訳を溶かしてくれた
風呂上がりの白いTシャツは
白菊の香りを意識した生命維持の余剰分
もう眠い
今夜は
夜が明けるまで眠るよ
自由詩
白菊の香り
Copyright
ichirou
2014-08-13 21:18:33