地上の彗星
瑞海

とぼとぼ帰路の中
目の前の大きな道路

お空の星はもう見えなくなってしまった

時速45kmの彗星が放つガスが
15mの横断歩道の先の少女に纏わりつく

その反対の僕にだって
真っ白いカッターシャツが灰色に染まる

でも少女はむせてなんかいなくて
義務化されたガスマスク越しに
満面の笑みを浮かべて

僕は手を伸ばすけど
少女は走って

"君はこんな世界に居ちゃあ駄目だからね!!!
君は肺でしっかり息をしてね!!絶対よ!!!
君は…君は…"

手と手が繋がる寸前
消えた少女
欠片になって

彗星の鳴く音で
聞こえなかった大事なこと
それでもしっかり届いたから
心配しないで欲しい

少女が見たかったものを
見せれるように
空を仰げるように
僕は大人になるから

心配しないで 眠っていてね




自由詩 地上の彗星 Copyright 瑞海 2014-08-12 21:08:39
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