トースト大好き(DANDAN心腐れてく)4
nemaru

とわの市とわのの
喫茶店。

ネネは
俺の懐を察して、
トーストしか頼まない。

外に出ると
「まあ合格かな」
トーストだけで、判断できるかよ。

どんだけ上級者だよ!
このアマめ!
大好きだ。

今日はデート。
京浜急行で、あるいは乗ったことがないエルグランドで。
着いた着いた、ここだよ。
ブリーフの中にしまいこんでいる、
まどろむネネを起こさないよう、
スタンドを立てる。
そっと。
いい天気。
そよ風。
吸い込んだ
分子に付着した
罠(これは
これは猛毒の(反射的に
その先を(見てはなりませぬ
だめだ(これは
エイト(いやっ
フォー(いや、三次元のッ…!
シトラス(たゆたう
巨乳(の香り
白のノースリー(いや、三次元だッ…!
だめだ(女は
ブス…(それでも!

(それでも!

(それでも!

はぁ、はぁ、はぁ。

だめだじゃないか君!
なんということをしてくれたんだ!
君の管理責任が問われる事になる事になる事になると思うよ!

ネネ、見ちまったよ。
うっかりだ。
うっかりミスで、三次元の女を…。
あの質感は、
ネネにないもの。
ネネより劣る女の、。
鼻腔がくすぐられて、首がぐりんってね。
反射的に。
人間って怖いね。
よごされちゃった…
よごされちゃったよネネ。
壁にもたれかかり、
右手で顔を押さえ、広げた指から開店前の世界を睨みつける。

傷ついたのか。

いや、女はいない!
すれ違ってもいない!
何も嗅いではいない!
何も見てはいない!
女など!

だめだ、それは女だ!
もっとだ!

くの一!

やっちまったなー!
もっと!
もっと!
もっと!

/ -/ . = ..

よし!
忘れたな!

ブリーフの中にしまいこんでいる、かわいいかわいいネネ以外、
俺は感知しない!
そういう仕組みを、牙城を築き上げたのだ(それでも!

(それでも!

(それでも!



驚かせちゃったね。
これくらいどうってことないよ。
ネネ、これくらい
ネネ、このドンワナクライ
ネネ、この暗いディティールは諦観と思考放棄の霞に彩られて油膜状。
思考は飛ぶものだから、
しこー
しこー
とりあえず、なっ。
終末に向かおう、ネネ。
向かう先は、
風も向かない気も向かない、そっち系のぶらり旅。

デジタルせつない。
アナログせつない。
どうせラブホは無理だから。
ネネが裸になるなんて無理だから。俺、無理だから。認めないよ。
でも、ネネが裸になるって言うんだったら、俺もなるよ。
何万人ものネネと瀰漫する我々の
人類滅亡計画(俺だけかな
我々の悲願だからこそ咲き乱れる、咲き誇る彼岸の、
もういっこの彼岸の、
もう、ほんのちょっとだけデジタルに拗ねているネネをほだすと、
吐瀉物のように降りしきる
群青色のプラナリアの大群が
地についたと同時に全方位にスタートダッシュをかけて
足の踏み場なく跳躍撤退。
シュー、
コー。
シュー、
コー。
俯瞰する宇宙、
不気味に蠢くブループラネット。
俺の心。
一時的にでも
元の色に戻したくて、
パッと振り返り、後光のようにふざけた花が、飛ぶくらい、散るくらい、にこやかに。
ネネに向かって、
振りしこる。
しこ
しこ
会いに行く作業。
ヤモリのように睥睨しながら匍匐前進する。
尿道を、前立腺を、
ミッションが、真夜中のビルのダクトを通る。
ミッション。
生きながらえながら行う
供養。
ネネ。
今日は
せめて
その礎を築こう。
風林火山越えていこう。
ネネと一緒なら、何処へでもゆけるよ。

着いたのは、
とわの市とわのから俺の脳に連結した現実の
先月開業したパチ屋。
ここでは
ヘソ釘は交差して
バッテンを描いているから、
せいぜい千円で6回転しか回らない。
えっ
嘘っ
入るわけがないじゃない、
こんな店。
いや、
じっと見てちゃいけないよ。
恥ずかしい。
ちゃんと
よそ見しなきゃ。
ほら、ネネ
マヌンバは継続率低いから覚悟してね。
ネネ、ほら餃子の王将だよ。
これは糞盛りだから1回当たると5万発だ。
内規もへったくれもありゃしねえや。
なんだここは!
なんだここは!
時短20回だって、ケチだね。
俺の人生だって、まだまだ30回転は残ってる、はずだよ。
ネネ。
海物語。
タコやカニやカメやらが揃うと確変なんだ…
あれ…カイにアトウにイモリにミユキに…
図柄水増しすんじゃねーよこの糞店が!
なんだここは!
なんなここは!
バンバンバン!
でも、
この人達、みんなもうすぐ死んじまうんだ…
失礼しちゃうわね!
ほら、マリンちゃん。挨拶して。ウリンちゃんは貧乳。
断っておくけど、あいつらは/ -/ . = ..じゃない。
俺が認めないから。
ところであのじいさん、サムでハズれた言ってるけど、
こないだ受けたレーシックで視力2.0だから、本当だよ。
目じゃないね。
ネネ。
ここが
最も死の香りがたちこめる牙狼のシマだよ。
がろうじゃない、がろ。
あれが黄金騎士、牙狼。
牙狼は強いよスペックは1/399のMAXタイプ厳密に言うと1/399.6
51%で魔戒に突入バトルに負けても時短が100回もつくっていうサンセイR&Dの良心の極み。
涙がでるね。
魔戒では160回転のうちに1/100を引けば2000発がループする。
どうだいネネ。
魅力的だろう。
あれで、200万ほど借金したんだよネネ。
うん、こさえた。
作っちゃったんだ、俺が。
この、何もできない、俺なんかが、作っちゃったんだよ。
ネネ。
すごいだろ。
俺の生活、みんな牙狼が持ってちゃった。
我が名は牙狼、黄金騎士だ!ってね。
持ってっちゃった。
悲しいね。
あ、触っちゃダメ。
牙狼の鎧はソウルメタルって言ってね。
ああ見えて高速で振動してる。
触ったら、指が焦げちまう。
ほら、
落ち着いて。
おじいちゃんが握っているのはハンドル。
おじいちゃんも、若いやつもあのハンドルさえ握れば、
あとは運次第ってわけ。
もったいないね。
幸と不幸の再分配。
老いと若きの再分配。
ハンドルを通して老人と若者が入れ替わり、
若者だった者は次第に激しくボタンを連打しながら果てていく。
明滅する
役物に
涙を浮かべながら
ドル箱を埋める老人の、
玉の中に道連れにされていく
魂に、
見惚れていると、
もうこんな時間。
楽しいとあっという間に過ぎちゃうね。

1パチ仮面ライダーV3を夕方まで粘り、
最終的には突確スルーの電光石火で駆け抜けた。

涙ぐむ俺は、
精神と時の部屋でネネと再会する。

「三食ちゃんと食べてる?」

今日朝から
何も食ってないよ…
トースト食べたいよネネ。

偶然すれ違った紳士の
ネネを見る。

このやろう!
知らない男とできてやがったのか!
このアマめ!

大好きだ。


散文(批評随筆小説等) トースト大好き(DANDAN心腐れてく)4 Copyright nemaru 2014-08-10 20:16:06
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