モアイ(鼻からティッシュ)
虹村 凌

(見舞われたのは界王拳10倍かめはめ波では無く)
(24時間降り続け吹き続けたドカ雪でした)

薄暗い部屋の中で 電気も付けずに
軋む ベッドに横たわったまま
ずっと液晶画面を 眺めていたんだよ

雪が上がっても 辺りは真っ白で
たった五本の 煙草の為に外に出た
落ちてくるには 時間がかかりそうな
震えている 氷点下の青空の下で

バイクの一つも盗めずに
足に絡み付く 白い流線型を蹴散らして
埃にまみれた夜の 帳の中へ歩き出す
どれだけ歩いても 明日なんて見える訳が無い
でもそれは ちっとも絶望する事じゃないと 気付いた

何万人分のか分からない ティッシュの中を
ヘラヘラと モーゼが海を割った様に歩いて往く
何処に行くか何て 決めて無いよ

愛も心も要らない 今は全てが欲しいし捨てられない
だからお前の声も聞こえないし聞きたくない
待ってろよ 屹度帰るからさ


自由詩 モアイ(鼻からティッシュ) Copyright 虹村 凌 2005-01-26 09:48:42
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