雨漏りバケツ半
nemaru

今のところ、
雨漏りバケツ半。

溢れることはない。
自信がある。

長雨は、
天井裏に住んでる奴らの糞塊を
丹念にドリップしてくれる。

「凛子、コーヒー的のが、入ったよ。」



ありがとう、
飲めないけど。
一応、お礼言っとく。







いつもの町並や電線達が
無茶ぶりの口笛を吹かされる時、
耐える俺の家からは、
砂のこぼれる
音がする。

ほら、ここ!
ここも!
ここも!

雨漏りと回し蹴りのような周期で軋む家。
不安で押し潰されそうになった
自我(テンション)はハイになり、
とうとう
土砂降りの中を飛び出した。

「り、凛子ッォォォォッォオオオオ!」







小学生かっつーの!



…すまん、
タバコ買いに行ってた。

火をつける。

ここも、
いつか朽ちる。

というか既に朽ちている。
朽ち朽ちている。
無理やり棲んでいる。

それでも確かに
凛子との暮らしはゲームの中にあり、
それでも人間はコツコツと、
屋根を直す
お金を貯めているのだ。


自由詩 雨漏りバケツ半 Copyright nemaru 2014-08-10 12:36:09
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