雨漏りバケツ半
nemaru
今のところ、
雨漏りバケツ半。
溢れることはない。
自信がある。
長雨は、
天井裏に住んでる奴らの糞塊を
丹念にドリップしてくれる。
「凛子、コーヒー的のが、入ったよ。」
ありがとう、
飲めないけど。
一応、お礼言っとく。
*
いつもの町並や電線達が
無茶ぶりの口笛を吹かされる時、
耐える俺の家からは、
砂のこぼれる
音がする。
ほら、ここ!
ここも!
ここも!
雨漏りと回し蹴りのような周期で軋む家。
不安で押し潰されそうになった
自我(テンション)はハイになり、
とうとう
土砂降りの中を飛び出した。
「り、凛子ッォォォォッォオオオオ!」
*
小学生かっつーの!
…すまん、
タバコ買いに行ってた。
火をつける。
ここも、
いつか朽ちる。
というか既に朽ちている。
朽ち朽ちている。
無理やり棲んでいる。
それでも確かに
凛子との暮らしはゲームの中にあり、
それでも人間はコツコツと、
屋根を直す
お金を貯めているのだ。