繕いもの
川瀬杏香
老眼の眼をほそめ、針に糸を通して、彼女が
器用な手つきで繕いものをしている。
ほつれた糸は無いもののように。
ただ、ひたすらに繕ってゆく。
それは家族や社会、そのいちぶとしての一本
の糸である自分、または一枚の布である自分
自身を繕うかのように。ただ、ひたすらに。
ほつれた糸は無いもののように。
2013/09/30
自由詩
繕いもの
Copyright
川瀬杏香
2014-08-05 20:08:16
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