大人になっても
無花果


信じていたものに
裏切られたとき



一瞬でも
愛しい気持ちになれた人間が
鉄の釘で
私を打ちつけるみたいに
睨む

私の知らないところで
何かが動く

昨日まで繋いでいた手は
爪を剥がされたみたいに激痛が走る

人間と人間の隙間を繋ぐ橋だった
言葉は

今の彼らには、
私に向けた凶器でしかない

優しさにふやけたこの心は
言葉の鋭い鋏で
あっさりと血を流した


これだから嫌なんだ、と
開き直ってみても

苦しいものは苦しい
悲しいものは悲しい

理論的にとらえるんだ
感情的になってはいけない

そう自分に言い聞かせたって
私は人間だったから

きっと大人になっても、
傷ついてしまうだろう。


自由詩 大人になっても Copyright 無花果 2014-08-04 18:59:40
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