ただいま
baby bird

探すのを諦めてしまったら
なんだか楽になれたような気がする
放棄する事を覚えてしまったら
なんだか楽になれたような気がする

認めたくは無いのだけれども
まるで憑き物が落ちたかのように

決して楽しくは無いのだけれども
荷物はずるずる流れていって

もうここに何も残っちゃいないけど
もう僕に帰る場所など無いけれど

そんなものは最初から
無かったものだと思ってしまえば

雨ざらしの夜の日も
遠くに見える町の灯りも
そんなに悪いものじゃない

濡れたベンチに腰掛けて
色をなくした世界の中で
ひとりぼっちで空を見て
たまにはそうだ
土管の中でひんやりとした感触を楽しんで

よくよく考えてみれば
それだけあれば足りるのだ
それだけあれば十分だった

ただいま


自由詩 ただいま Copyright baby bird 2014-08-04 07:53:52
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