恋人
森川美咲

かつて恋した人に会える
年に一度の特別な日
もう二度と
ふれあうことはなくても
恋しい恋しい人

許されない恋だったから
別れはすぐに訪れた
終わらないままに
引き裂かれた恋だった

それでも年に一度会えるのは
神様の温情か
はたまた天使の悪戯か

私の瞳の中に
紅蓮の炎が燃え盛っていたうちは
話しかけてももらえなかった
それでもよかった
わざと反らした貴方の瞳の中に
あかあかと残り火が
私にもちゃんと見えたから

いつしか何もなかったように
言葉を交わせるようになり
それでもやはり貴方は特別な
恋しい恋しい人

気づけば必ず貴方から
声を掛けてくれるようになり
ますます貴方は特別な
恋しい恋しい人

そしてまた
年に一度の特別な日
ふと合った視線を
どちらからともなく反らした
初恋の戸惑いのような瞬間
何故か言葉を交わせなかった
10年目の特別な日

それでももう
全然よかった
もうはっきりとわかった

貴方は私の
やっぱり特別な人
恋しい恋しい人だから

貴方は
永遠に
私の恋人


自由詩 恋人 Copyright 森川美咲 2014-08-03 05:31:05
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