奏でるよりも聞き惚れて
千波 一也



銀河のほとりには
ため息たちが花開いて

湖面は
ゆらめく



つかの間の風のなかに
つかの間の風のそとに
言葉の実る予感、が
色づいて

瞳の奥を波が走る



こころ有る者はいつも孤独で
秘めた祈りが降り積もる



ほころぶすべがあるとすれば
それは、風

届きたくても
届くことのない
やわらかで圧倒的な矛盾



まるで
鏡の世界のように

すべてが正しく
すべてがいつわり



多くを備えない非力さゆえに
だれもがしずく

ささやかに
円をなす
一滴の



瞬く星は
互いの遠さに
あこがれ煌めいている

奏でるよりも聞き惚れて









自由詩 奏でるよりも聞き惚れて Copyright 千波 一也 2014-08-01 22:58:20
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