高校の頃
陽向







高校生の頃、おそろしいほどイケメンな男が、同じクラスにいた
イケメンと言えば、誰もが女に囲まれて幸せな人生送ってる奴と思うが
そのイケメンは、無口、不登校、何考えてるか、さっぱり分からない(表情が全く読めないのだ)、何かと世のイケメンとずれてるのである
そのイケメンが、中学生の頃は、女子たちに10回ほど告白をされたという
普通の男がそんな事を言えば、嘘だろと思うのだが、そのイケメンは何となく理解できた
かわいいと男にいうのは変な話だが、女性よりかわいい顔だと僕は何となく思っていた
告白されても、なぜかことごどく拒否したらしい
僕はイケメンに話しかけた
「音楽聴いて」
イケメンは何も言わず、イヤホンを耳にあてる
僕は、男に興味を持つ人間ではないが、こんなにイケメンな奴と同じ音楽を聴いてると思うだけで、何でかドキドキした
二人で音楽を聴いていると、授業のチャイムがなった
教師が入ってくる
作戦失敗。話しかけて仲良くするつもりだったが、イケメンはイヤホンを取り、
僕にわたしてきた、その目があまりにもかわいらしくてドキドキした
僕はさっきも言ったが、男には興味がない。なのに、その男は女性より女性のような顔立ちで、美人の女の雰囲気があるのだ
結局、イケメンとは話せなかった

放課後
僕は、音楽を聴きながら、靴箱に靴を取りに行った
「親友」
後ろから誰かの声
イケメンが、僕に握手を求めてきた
僕は良く分からなかったが、イケメンと握手した
イケメンは満足そうに靴を履いて
「あの音楽、俺も好きだ」
と、微笑みながら、呟いた
僕は、「あ…俺も…」と呟いたが、イケメンはさっさと帰っていった

それから、
イケメンは不登校を貫いて
卒業式だけ出てきた
僕は、イケメンをちらっと見た
イケメンは僕を見ていた
「なんか、両想いで結ばれない、男女みたいだな」
それがイケメンを見た最後だ

あの握手、嬉しかった
あのイケメン、どうしてるかなぁと最近よく思う
今日、このごろ










散文(批評随筆小説等) 高校の頃 Copyright 陽向 2014-08-01 18:55:00
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