月の船
為平 澪

真っ暗い空に
月の船が
帆をかけて行くよ

  ひかりをあつめて
  なみだをわたるよ

月の船が
夜を越えるよ

  きどうのさきに
  きぼうをのせて

 帆をかけて
  哀しみすらも
   呑み込んだ
     月の船

柔らかに浮かぶ翳り
やみくもに伸ばした微熱

そんなあなたの満ち欠けを
映した地上の月鏡

覗いてごらん

 語らない物語
 胸に沈めた迷宮

とおい日のあしあとを
追いかけながら
泣き出した
あなたが唄う
いつかの哀歌エレジー




自由詩 月の船 Copyright 為平 澪 2014-08-01 16:32:51
notebook Home 戻る  過去 未来