アミューズメント
茶殻
食堂の隣のテーブルで姦しいオペレーターの女が言うことには
UFOキャッチャーのコツというのは
二本のアームを、右腕と左腕ではなく
親指と人差し指だと思うことなのだそうだ
実利主義の僕は賞品より商品にペイを向ける
車も服も楽器も酒も役目を果たせばそれで良いと思う
だしの薄いうどんに浮かぶ油揚げに七味を振る
割り箸で沈み込む黄金色の座布団の上に躍る渦 (絨毯)
急な流れに飲まれる麻の実は暴れながら沈み、間もなく液面を突く
ほら汚れたハンカチを拾うみたいに、と示す尺骨の突き出た右手は
水色のマニキュアの尖でなく二つの指の腹で確かに空を掴んでいた
冬晴れのベランダで陽光を頬張る掛布団から
寝癖のように飛び出した一片の羽毛を掴んで
離した
…
オペレーターの女が嫁ぐ知らせを聞き
デパート三階一角のゲームセンターへ足を運ぶ
一枚きりの五百円玉を投じて
既に仲人きどりの上司に似たあの河童が取れたら
二人が誓う永遠は一日継ぎ足そう・・・
―――祈れば祟られてしまうだろう?
未来との交易、
鉄火場に限らず神はいつでもポーカーフェイスである、
52枚残らずジョーカーであるかのように含み
いずれ強いられる根こそぎ自らの命を賽として投じる賭けのために
幾度と無くサボテンを両腕にきつく抱くような心地で
僕は神の顔を伺うのである
ありもしない切り札の代わりに
革財布をきつく握るのである