月を追って
凍月
夜の黒が
何時だって怖かった
だけど僕は知っている
夜空に浮かぶ月を
三日月は美しい
それはもうすぐ消えてしまうから
だから美しい
だから耐えられる
でも新月の夜は無理だ
存在するのに見えないなんて
そんなに悲しい事はない
月の見えない夜は空っぽだ
泣きたいくらいに何も無い
夜の帳が下りてきて
僕の心の目を塞ぐ
だから僕は夜空を見渡す
建物や木々の間から
この街の向こうまで
ああ、月光に包まれて僕は
ようやく生きてると思えるよ
あの控えめに輝く三日月を追って
この街の中をどこまでも行こう
寒空の下でも
熱帯夜でも構わない
月を見るまで、今日は帰らない