恥じらい
千波 一也



風に運ばれて
なつかしい匂いが
辺りを
湿らせる


葉の裏
こもれび
ガラスの小瓶

窓枠
ベンチ
まっすぐな歩道



言いかけた、名前



少しのあいだ
すなおに
なって
立ち止まり

なつの
健気さを
むねに吸いこむ



誰にもいえない
匂いのなかで

言葉のなかで







自由詩 恥じらい Copyright 千波 一也 2014-07-31 22:27:23
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